理事長方針

理事長 杉村荘平

 

このくにの行方、そして活力あるくしろへ

 

2005年、日本全体には未だ閉塞感が漂い、国際社会においても文明の衝突と呼ばれるイラクやイスラエルを始めとする中東情勢やテロの問題が泥沼化し、北方領土を始めとする国家主権に関わる領土問題もさらに複雑化する様相です。また少子化と高年齢化に伴う年金問題や青少年犯罪の凶悪化と低年齢化に表れる教育問題など、事ここに至ってこのくにの行方までも問われるような様々な問題が我々の目の前に横たわっています。

戦後から60年という節目を迎える本年、今まさに我々は一人の日本人として確かな歴史観をしっかりと携えたうえで、この国を取り巻く問題に今一度真正面から取り組むことが必要であると考えます。またそれと同時に我々は、バブル崩壊から始まった「第二の敗戦」とも言うべき長かった混迷の時代が、市場原理を背景としたグローバルな大競争の論理によって刻々と終わりを告げつつあり、地域間競争・都市間競争に代表される日本再編成ともいうべき大きなうねりの真っ只中にいることに気づかなければなりません。

 

我々の住むくしろという地域はどのような地域なのでしょうか。漁業資源や石炭資源に恵まれ一次産業を中心に発展してきた道東の中核都市というのは周知の通りです。しかし近年は、あまりにも天然資源にめぐまれてきた反作用と、北海道のどの地域にも見られる官依存体質の影響からか産業構造の転換が遅れ、これからのくしろのビジョンを明確に示すことが出来ない中、徐々にそして確実にその輝きを失ってきています。

このような状況の中、この地域は人口の減少が止まらず、小・中学校は統廃合され、地元の学校卒業者の就職先も確保できないという悪循環にあります。我々はこのまま何もせず、この地域の行く末を眺めているだけでよいのでしょうか。くしろには潜在力がある、くしろには恵まれた素材が数多くあると言い続けてもう何年になりますか。

 

「いきいきと働く。いきいきと暮らす。いきいきと学ぶ。いきいきと遊ぶ。」このくしろに生きる力が満ち溢れ大人が夢を語り子供も大きな夢を持つ、そんな「活力あるくしろ」を創りたい、私はそう考えます。

今こそが過去50有余年、多くの諸先輩が脈々と培ってきた青年会議所活動の真価が問われる時なのです。我々一人ひとりがこの地域の未来に対し、健全なる危機感と使命感を持ち、市民と共に語り、決然と行動していきましょう。

 

創始の精神、そして活力ある人間へ

 

我々の原点は第二次世界大戦後の荒れ果てた日本、焼け野原になった我がまちを何とか復興させようとした先達の創始の精神に始まります。以来半世紀以上に渡り、我々の先輩達が計り知れない情熱と高い志を持って連綿とJC活動を展開し、今日の日本という国を創りあげる力になってきたのは間違いのない事実であります。

この創始の精神とはどのようなものなのでしょうか。それは自分達の地域社会に対する純粋な使命感と責任感であり、これこそ我々が今まで多くの先輩達から継承してきた「Jayceeとしての気概」であると考えます。

本年度(社)日本青年会議所高竹会頭は、『「意気と力」あふれるJC New Generation』を提唱されています。意気とは「やる気、気概」、力とは「能力、力量」であり、昭和40年以降に生まれた我々が「意気と力」創りを行い、夢を持ち夢を語ることによって、この国を今一度開拓していこうというものです。この「意気と力」こそ、我々が継承していくべき「Jayceeとしての気概」そのものなのではないでしょうか。我々「New Generation」世代は日本の高度経済成長に歩調を合わせ、物質的には非常に恵まれた中で成長してくることができました。そうであるからこそ我々は物質的な豊かさとは対極にある、JCの存在意義に関わるこの「気概」について、常に自問自答しながら活動していかなければなりません。

 

我々のJC活動には、諸先輩が残してくれた輝かしい歴史と伝統があり、素晴らしい仲間と共に語り合いながら自分達の夢の実現に向って前進していくという、限りない切磋琢磨のグラウンドが広がっています。我々がこれからも気概あふれるJC活動を行っていくためには、そのグランドで培われた固い友情を持ちながら、互いに刺激を与え合う存在になることにより、確固とした「生きる力」を見出し、「意気と力」にあふれる「活力ある人間」となることが非常に大切なことだと考えます。それにより初めて我々は、自分がJCに入会した意義を見出すことができるとともに、家族や会社の同僚そして友人からあの人はJCに入って変わったなと言われるような、周りに良い影響を与える存在になることができるはずです。

「活力ある人間」こそがいきいきと輝く力強い組織や地域を創ることができるのです。まず我々自身が「意気と力あふれる人間」になることを目指し、そして全員一丸となって「活力ある人間」創りに取り組んでいきましょう。

またそのようなJayceeが地域社会やその住民に与える影響によって、我々の活動に賛同してくれる新たな仲間も増えていくことになるはずです。我々の夢を実現するには一人でも多くの志を同じくする仲間が必要です。メンバー一丸となって「活力あるJaycee」の拡大にも全力を挙げましょう。

 

さあ、活力あるくしろをつくろう

 

 本年度、くしろ地域では市町村合併による新市誕生という、歴史的な出来事が起こります。2001年、この地域をより良くしたいという一念に燃える、当時の(社)釧路青年会議所メンバーを含む多くの住民が立ち上がり、この合併運動が正式に動き出しました。その後この運動は、多くの人々の語り尽くせぬ努力とその熱い行動のもと、様々な紆余曲折、試行錯誤を繰り返しながら、本年ついに結実することになります。

 私はこの市町村合併というものが、この地域の問題点を瞬く間に解決し、我々住民が何もしなくてもこの地域を急に良くしてくれるような、魔法の杖になるとは考えていません。この市町村合併の機会において我々が最大限に享受すべき効果とは、自分達の地域のことを良く言わないと言われてきたくしろ地域の住民が、この機会に地域の将来について今一度真剣に語り合い知恵を出し合うことにより、この地域をより良い方向に変えてく為の大きな転機にし、自分達の地域への愛着心と地域経営への参加意識を高めてもらうことだと考えています。自分達の地域は自分たちでつくるべきものです。誰かが用意してくれるものではありません。

我々(社)釧路青年会議所メンバーはこの絶好の機会に、自分達が持ちうるまちづくりに関する全てのものをつぎ込み、この合併による個性ある地域づくりが最大限の効果を発揮するような行動を起こさなければなりません。その為には多くの市民・関係団体・有識者などと議論を重ねながら、これからの20年から30年先を見越した、本当にこの地域が目指すべき明確で具体的なビジョン・指針を創らなければなりません。そして創るだけではなく、どのようにすればその指針に沿ったまちづくりが将来に渡って実際に行われていくのかも考えることが必要です。

 

またその一方で、この合併を視野に入れながらもそれとは違う観点で、どうしたら「活力あるくしろ」を創ることが出来るかを考えた場合、今までのまちづくり議論には、そのプラン・アイディア・提言を具体的な実行段階に持っていくにはどうしたらよいかという、議論を具体化させる仕組みづくりの部分が欠落していたことに気づきます。もちろんまちづくりの議論は1年や2年ぐらいでその成果がでるような簡単なものではないでしょう。しかしそれではなおのこと、このようなプラン・アイディア・提言の継続的な受け皿になり、それを取捨選択し具体的な実行段階までもっていけるような仕組みを創ること、そしてその実現したプランがそれだけで終わることなく、次々と他のプランと関連しあい、他のプランの実現に誘発されていくような仕組みが必要であると考えます。そしてこの仕組みを考えるに当たって忘れてはならないことは、いかに官に頼らず民間活力を活用することが出来るかだと考えます。「民に出来るものは民に」という認識のもと様々な手法を研究し、「活力あるくしろ」を実現しましょう。

 

活力が湧き出し続けるくしろ

 

「活力あるくしろ」が将来に渡って持続し、この地域に次々と新しい活力の源が湧き出してくる。それが地域の理想的な姿であると考えます。

地域には元気で魅力のある数多くの地元企業があり、この地域の学校を卒業した若者が進んで地元企業に就職する。東京や札幌で勉強し就職していた人間が自発的にこの地域に戻って事業を興す。そこにまた新たな雇用が生まれ、その雇用に対してまた新しいビジネスチャンスもうまれてくる。若い年齢層が増えることにより、地域のイベントも活気づき中心街の活性化にも貢献していく。それにより観光客の数も増え、地域が獲得する「外貨」が増える。このように活力が正の循環を繰り返す、「活力が湧き出し続けるくしろ」を創っていきたいと考えます。

 

日本という国は、すでに世界有数の金融大国であるにも拘らず、その学校教育の中では「1ドルは日本円でいくら」ということや「株式会社の最低資本金はいくら」という形式的なものは教えますが、実際の経済はどのように動き、そのダイナミズムの中で企業がどのように生まれ、知恵と工夫の中でどのように利益を上げているのかということや、その果実である所得をどのように運用するとより豊かな生活を行えるのかといった、自分の生き方に関わってくる身近な経済の仕組みや動きについてはほとんど教えられてこなかったのではないでしょうか。そんな状況で、「さあ20歳になったのだから自立した生活を始めなさい」とか「アメリカを見習ってどんどん起業してみなさい」と言われても成果が上がらないのは当然であると考えます。

 明日の活力あるくしろを創っていく為には、将来を担ってもらう青少年に、現在のうちから経済や金融に対する興味を持ってもらうとともに、その実践であり社会人として当然の選択である職に就くという意識と、その対価である収入や所得への正しい認識を持ってもらうことが重要であると考えます。そしてそこから発露されるであろう起業家意識を感じ取ってもらい、将来実際に起業を行ってくれるような人材を一人でも多く育成していくことが何より必要なことであります。若く可能性にあふれた明日の人材育成を地域社会とともに積極的に進めていきましょう。

 

このくしろ地域には数多くの企業があります。もし、この企業全てがその努力により業績を上げ社員を一人づつ増やしたとすると、そこには何人の雇用が生まれ、そのことがどれほどくしろ地域の活性化に貢献することになるのでしょうか。

地域に活力の循環を発生させる大きな源の一つがここにもあります。いたずらに会社を大きくしようと言っているのではありません。ただ、この地域の一つひとつの企業が今より少しづつ経営力を向上させ、より活力ある企業になってもらうことが、この地域全体の輝きを増すことになると考えます。

「活力が湧き出し続けるくしろ」を創るためには、我々青年会議所メンバーの所属する企業に限らず、このくしろ地域全ての企業とその経営者・社員に更なる魅力溢れる力強い企業経営を行っていただくこと、そしてそれに関連して新たな活力ある企業が次々と生まれてくるようにすることが、今まさに必要なことであると確信しています。

 

我々の使命

 

「釧路JCは北海道の中、いや日本の中でも非常にレベルの高いLOMだ。」

出向や各種大会などに行くとよくこのようなことを聞きますし、客観的に見ても間違いのない事実だと考えています。しかしその一方で「日本の中で北海道が最も経済情勢が悪く、地域として全く自立できていない。そしてその北海道のなかでも釧路地域が特に良くない。」という声も残念ながら事実だと考えます。これはどういうことでしょうか。我々の活動はこの地域の発展に貢献できていないのですか?

我々は時には仕事や家庭を犠牲にしながらも、地域に対する高い使命感と責任感を持っ

て明るい豊かな社会を築くため、日々懸命にJC活動に取り組んでいます。ただそこにはその活動の成果を最大限には地域の発展に結び付けられないでいる事実があります。我々の血と汗と涙の結晶であるJC活動の成果を、何とか目の見えるものとして、この地域の持続的な発展に結び付けられるようにしていきたい。これが私の最大の願いであるとともに、地域社会への使命である「Jayceeとしての気概」をこれからも未来永劫受け継いでいかなければならない我々にとっても、何にも増して重要な命題であるはずです。

 

我々は、「活力ある人間」として「活力あるくしろ」を創る為、内向きの論理と提言に終わることなく、失敗を恐れず積極的に地域住民とともに行動していきましょう。そして気概を持って堂々とその成果を外に向って発信し、潔くその成否を問う。それが現在の(社)釧路青年会議所に求められている課題であり、創始の精神から続いてきた我々の最大の使命であると確信しております。

 

語れ、踏み出せ、動け!そして動け!

          いざ成し遂げん、活力あるくしろ!